『上を向いて歩こう』、『遠くへ行きたい』、『こんにちは赤ちゃん』、『見上げてごらん夜の星を』など、数々の大ヒット曲を作詞した永六輔さん。
テレビが実験放送をしていた頃から放送作家として活躍していた永さんの言葉には、令和の今も大切にしたい思いがたくさん詰まっています。
永六輔のプロフィール
名前 | 永 六輔(えい ろくすけ) |
本名 | 永 孝雄(えい たかお) |
生年月日 | 1933年4月10日〜2016年7月7日(83歳没) |
出身地 | 東京 |
学歴 | 早稲田大学第二文学部中退 |
職業 | 放送作家、タレント、作詞家 |
中学生の頃からラジオにコントを投稿しはじめ、高校生になると放送局で働いていました。
若手に厳しい言葉で喝を入れることで知られていましたが、面倒見がよく多くの著名人に慕われていました。
久米宏さんは「(僕が)25歳の時から僕のことを怒り続けてきた」と言い、永さんのお別れの会では、「46年間、先生だと思ってお付き合いした。長い間ありがとうございました」と述べました。
生きる極意
文句を言ってても1日。 ニコニコしていても1日。 だったら、人あたりのいい1日の方がいいんじゃないかい?
コラッ、あんまり勉強するとバカになっちゃうぞ
知らないのは恥じゃない。知っている振りをするのが恥だ
知識がありゃいいってもんじゃない。その知識を生かす智恵がなきゃ
生きているということは、誰かに借りをつくること。 生きていくということは、その借りを返してゆくこと。 誰かに借りたら誰かに返そう。 誰かにそうして貰ったように、誰かにそうしてあげよう。
生きているだけで面白い。今が一番楽しく、喧嘩しているくらいが一番幸せ
タフですねと言われるようになったら、身体に気をつけなさいよ
ストレスはスパイスみたいなもんで、ストレスが全くないという人は、人間としてもお粗末です
人間、(出世したか)(しないか)ではありません。
新しいものを生むためには、危険なものにも目を向けよう
(いやしいか)(いやしくないか)ですね
『他人のために』は目立たないよう引いてやる。その含羞こそ粋
10の悪いことをしたら、20の善いことをしなさい。役人とか政治家はそういう目で見てあげなきゃいけません。
しなやか、したたか、つややか。この三つ、これが長持ちするコツだすな
すべての人間がやりたいことが出来なくて、つまり、途中というか、中途半端というか。そういう死に方じゃないんですかねェ。
テレビで食い過ぎの薬のCMをやってるけど、食い過ぎってのは、バカのやることだぜ。地球には飢えている人がいるんだから。
バランスがとれてないと、力の大きい方へ寄ってくんだよ。だからバランス感覚というのは大切なんだ。
まず義理とつきあい。これを捨てることで、健康を守っております。
わたし下手な人には教えません。下手な人に教えると、自分まで下手になってしまうものです。
愛嬌があってさ、世の中けっこう楽しくやれるもんだぜ。政治家だって、頭の悪いやつがあれだけいるってのにさぁ
逢った瞬間!その瞬間に主導権をにぎらないと、最後までダメですね。
悪いことをする時はコソコソやれよ。コソコソやるから面白いんだぞ。
帰るところが故郷ではない。出かける先を故郷にしなきゃ。
教えるということは教わることです
苦労なんて耐えるもんじゃない。苦労は楽しむものです
君が自殺したら誰が悲しむかよく考えなさい。君が自殺して誰もが喜ぶようだったら、悩まずに自殺しなさい。
欠点を魅力にする
喧嘩は売られたら買えばいいんで、売られていないのに買おうとしちゃいけません。
口説く時に振られたら恥ずかしいなと思うようだったらやめなさい。口説くことがすでに恥ずかしいことなんですから。
好かれるように努力するより、嫌われるように努力する方が、自分が見えてくるのよね。拒否される自分で、自分が何なのだか分かるってことかなァ。
今日も無事、小便できる幸福よ
最期を看取ってくれる医者と、葬式をキチンとやってくれる坊主や仲間。これは早めに見つけておくことをおすすめします
死んだら他人の世話になるんだから、生きている間に他人の世話をしとかなきゃね。
時のたつのが早いなァと思うようになると、人生が分かってくるんです
自分が傷つかないで、怒(おこ)ったり、叱ったりする人がいるけど、自分も傷ついて説得力がつくんです。
自分の欠点を自覚しろ。自覚できたら直さなくったっていい。欠点のまま魅力にしろよ。
自分の力で食うってことは大変なことだってわかってくると、家族を食わせる責任もわかってくる。その上で家族に一言の文句もいわせねェ。こりゃ大事業だぜ。
叱ってくれる人がいなくなったら、探してでも見つけなさい
失恋しないように注意してちゃ、失恋しないぞ。失恋しない奴は、人間としてつまんない奴なんだぞ。
若いと思えば若いの。年寄りだと思えば年寄りなの
心づかい、気づかい。その多くは余計なお世話です。
人間、ヒマになると悪口を言うようになります。悪口を言わない程度の忙しさは大事です
人間、今が一番若いんだよ。明日より今日の方が若いんだから。いつだって、その人にとって今が一番若いんだよ。
人間は自分の言った通りなんか生きられません。そんなことしたら死んじゃいます
人間関係に順位をつけない。損得を考えずに人と付き合おう
人生ね、あてにしちゃいけません。あてになんぞするからガッカリしたり、悩んだりするんです
人生五十年というのは寿命のことじゃありません。五十年過ぎたら人間みんな同じだっていうことです
生きる姿勢というのは、誰にも教えられないんですよね。自分自身で発見するしかない
他人と比べても仕方がない。他人のことが気になるのは、自分が一生懸命やっていないからだ
知識でなく知恵でしゃべる
不安でいいの。不安で生きとるから、生きとるの。不安でなかったら、生きようがないで。
文字でいうと、辛いのと、幸せなのとは一本の線の違い。
無理は時にはしなきゃね。無茶は絶対しなさんなよ。
立場や肩書きを裏切れ
目を見つめて、一緒に笑い、一緒に泣く気持ちがないなら、他人の話を聞かないで
家族
孫が出来て初めて子供というものが見えてきましたね。親としての子育ては、反省しています。
躾ってものはガキのうちに、やっていいことと、やっちゃいけないことを体で覚えさせることだよ
子供は親の言うとおりに育つものじゃない。
子供を大切にするのと、子供におもねるのとは違います。
親のするとおりに育つんだ
10代の夫婦はセックス夫婦、20代の夫婦は愛で結ばれる夫婦、30代の夫婦は努力して夫婦、40代の夫婦は我慢の夫婦、50代の夫婦はあきらめの夫婦、60代の夫婦は感謝しあう夫婦
いいですか、夫婦ったってアカの他人ですよ。アカの他人同士が起こす奇跡、それが夫婦というものです。
一緒に暮らしてさ、自分が楽になれる相手と一緒になれよ。そうじゃないと疲れるぞォ!
家族お互いに隠し事の無い家庭が明るいっていうけど、暗いと思わない?
家族のために 死んでみせることが最後にできること。 その姿勢こそがいちばん大事。
家庭というのはこんがらがった糸ですよ。 こんがらがってるから家庭なんです。 ほどくとバラバラになっちゃいますよ。
教師として教育の崩壊なんて言われたくありません。家庭が崩壊して、それから教室、その次に教育でしょう。夫婦が崩壊しているのを、なんとかして下さい。
姑だって最後は嫁の世話になる。このことをわからせれば、あとは嫁の天下です。
今じゃペットをパートナーって言うけれど、ウチの旦那って、ペットなのよ。
親父は僕らの為に、特に孫たちの為に死んでみせてくれたんだな、と思えた時、その死をとても素直に受け入れられました
赤ちゃんというのは哺乳類の動物です。その動物を人類にするのが、親の仕事というものでしょう。
歳を重ねる
俺は歳をとったという不安もあるよ、でも歳をとってないんじゃないかという不安もあるねぇ
歳をとったら、転ばない、風邪ひかない、喰いすぎない、これで十年は長生きします
歳をとったら女房の悪口を言っちゃいけません。ひたすら感謝する、これは愛情じゃありません、生きる智恵です
歳をとると、だんだん世の中がつまらなくみえてくるんですよ
寝たきり老人は、老人とよばれる人の100人に一人もいません。ところが世間は老人の大部分が寝ていると思っているようで。
寝るっていうのは、結構エネルギーが必要なんですよ。老人が早起きするのは、そのエネルギーが無いからです。
人間ドックで若いって太鼓判を押されて、それで張りきってすぐ死んじゃう人が多いんだって。
朝食に何を喰ったかは忘れてもいい。朝食を食べたことを忘れなければそれでいいんです
長く生きるコツ、簡単です。死なないようにすればいいんです
天寿を全うしてっていうけど、天寿っていくつのことをいってるんですか?
美しく老いるなんてわけがありません。美しく老いる努力をすると美しく老いる場合がある、と言わなきゃ
病院での死に際っていうのは、どうしたって、痛々しい姿になるんだよ。あれを見ると、家族は楽にさせたいと思うようになる
老人と暮らしていない若者が増えたのが、老人に対する思いやりがなくなった原因です。あいつらは老人の衰え方を日常的に見てないから理解できないんです。
老人の身体は行政側の専門家、心は家族、仲間が面倒をみる。これをハッキリしておかないと、介護側がバタバタ倒れますよ。
老人ホームのランクは建物じゃございませんよ。食事が美味しいこと。気分がまぎれること。この二つです。
人間関係
人脈の中から金脈を探せよ。金脈の何かから人脈を探すなよ
対人関係で興奮してしまう時がありますね。その興奮している時に、相手に余裕を与えているということを忘れないように。
人の性(さが)
女は強くて、男は弱い。男がダメなところは、そこがわかっていないところなのよ。
女と別荘、両方ともつくるまでが楽しみです。
女はね、自分の母親と較べて、少しでも幸せだったら、それが親孝行ってことよね。
物の道理
戦争の中の悲惨さよりも、平和の中の悲惨さこそ不幸だ。
頭の悪いガキをつかまえて、頭を良くしようとするから、世の中が無理がいく。頭の悪いガキには、それなりの生き方を探してやるのが大人の責任じゃねぇのかねぇ。いいんだよ。多少は頭の悪い方が。
美談をひろい集めてきて、立派な人にするのは簡単だけど、そりゃメッキだからね。
聞くことは話すことよりずっと難しい
上手は下手の見本なり、下手は上手の見本なり
何でも金で買える豊かさの中で育つと、金で買えないものが欲しくなります。
イスラム社会がかかえている問題は、貧富の差でしょうねェ。世界的な金持ち層と、世界的な貧困層が向かい合っているんですから、そこから過激派が出てくるのは仕方がありません。
テロだ!と騒ぐことが、テロの二次目的だということも忘れないで!
医者は病気を治そうとはする。しかし大切なのは、病気を治すことではなくて病人を治すことなのだ
可愛いっ!ていうのは、可愛くないものを差別しているんですけどね。気がついていませんね。
健康を追求するあまり、不健康になっちゃうでしょう。安全を追求するあまり、危険が増えるのと同じですね
飢えている国は軍隊が力を持つんです。日本だってそうだったじゃありませんか。
差別用語って不思議な言葉です。言葉を差別していると思いませんか。
職業に貴賎はないと思うけど、生き方に貴賎はありますねぇ
女房みたいな愛人はつくっちゃいけません。そんなことするから女房が怒るんだ。
美しい生命とか、汚い生命とか、老いた生命とか、若い生命とか、そういう区別はないはずなんですけどね
病気になったら金を出すといえば、元気な人はみんな病気になります。そういうものなんです。
不況で就職難でしょう。いいことが、ひとつだけあるんです。不況になるほど農家の嫁不足が解消されていくんですよ。
平均寿命っていうと、めでたく聞こえるけど、そこまで生きたら覚悟しろっということでしょう
無駄なことは何もない。無駄にする人がいるだけ
遊んで暮らすっていうのは、働いて暮らすのと同じぐらい辛いものだよ。
和解っていうのは、トコトン戦ってからするものです。最初から和解しようとする交渉は、交渉じゃありません。
人間70%は水だっていうけれど、植物だって70%は水。砂漠のサボテンだって70%は水。つまり、植物はダムでもあるんだよ。
土と砂は違います。砂は石の砕けたもの。土は生物だったものの遺体です。
山の南側で育った木よりも、北側の木の方が素材としては数段上ですな。北側の木は育ち方がしっかりしてます。
時効ってどうしてあるの? どうしていつまでも追求しないの? お金がかかるから? それとも疲れたから?
神さまが「悔い改めよ」っていうけど、「悔いる」のと「改める」のは別々にしてもらいたいね。
人間、ヒマになると悪口を言うようになります。悪口を言わない程度の忙しさは大事です
病と生きる
癌っていう言葉の、ガンという響きって嫌じゃない。違う病気の名前がつけられないのかしら
「老い」と違って、「病(やま)い」は不運である。「老い」は平等だが、「病い」はその対応と処置によって、老いとは別の覚悟が必要になってくる。老いは受け入れればいいが、病いは闘って勝たなければならない。負ければ死と直面する。
死生観
死に装束に手甲脚絆があるというのは、死は「旅」だからです。往生というのは、つまり、往って生きる、という意味。…… 向こうに往って生きている仲間が大勢います。遠くない将来、僕もそこに往って、みんなとまた再会できる日が来るでしょう。そう考えると今からちょっと楽しみです。
死んだっていうからおかしいんだよ。先に行っただけなんだから。
ひとつの命が終わる状況というのはセレモニーだと思う
死に方ってのは、生き方です
死ぬってことは、あの世というか、親のところに行くっていう感じだと思います。
死ぬということは、宇宙とひとつになるということ
人の死は二度ある。 最初の死は、肉体の死。 でも、死者を覚えている人がいる限り、その人の心の中で生き続けている。 最後の死は、死者を覚えている人が誰もいなくなったとき。 そう僕は思っています。
別れる淋しさ、生きてきた虚しさ。それに耐えれば、おだやかに死ねます
別れ方がうまい人は、死に方もうまいのかなァ
僕の父の逝った日の妙な安堵感を 想い起しています。 合掌
ここにいる奴は、みんな死ぬんだぞ。いずれ、みんな死ぬんだぞ。
人の死は一度だけではありません。最初の死は、医学的に死亡診断書を書かれたとき。でも、死者を覚えている人がいる限り、その人の心の中で生き続けている。最後の死は死者を覚えている人が誰もいなくなったとき。そう僕は思っています。……でも、人は歳月の中で亡くなった人のことを忘れがちです。だからときどき誰かと故人の思い出話をしたり街角で出会ったりしましょう。それも供養のひとつだという気がします。
テレビ
オリンピック中継でわかったけど、スポーツアナってのは、みんな国粋主義者だな。
テレビに出たらもう普通の人じゃありませんよ。指名手配されたのと同じだと思わなきゃいけません。
テレビに出ると、知らない人に知られるでしょう。よく、そんな気味の悪いことに耐えられるわね。
テレビのスタジオで、カメラの前で、モノを食って「旨い」なんて言ってる奴らは、共通して品性下劣ですね。食べる、排泄する。共に恥ずかしい行為だと思いませんか?
仕事
手前の仕事がいつまでもあると思っているのは、手前の生命がいつまでもあると思っているのと同じだぜ。
いいかい、仕事は金脈じゃない、人脈だぞ。
名医は一人では名医になりません。その医者を支えるチームがあって初めて名医になれるんです
誰も反対しないようなことをやっても、誰も何かやったと思わない
芸とは恥をかくことです。
芸人というのはね、ヒトサマの余ったお金で生きているんだよ。
形式的な芸能は、その形式を守って長生きさえすれば、人間国宝です。
残らない職人の仕事ってものもあるんですよ。えぇ、私の仕事は一つも残ってません。着物のしみ抜きをやっています。着物のしみをきれいに抜いて、仕事の跡が残らないようにしなきゃ、私の仕事になりません
職人の仕事なんていうものは進歩はない。進歩しちゃいいけない。
職人は自分がどこで一人前になったか、自分じゃわからないものです。だから、一人前だと認めてくれる人と出逢うまでが大変です。
女性の政治家も増えてほしいけど、その前に女性の官僚が増えるべきです。その分、料亭とかゴルフ場の接待が減るだけでも。
政治家は国民を敵にしても、マスコミを敵にはしないものだ。
道具でも何でも、昔からのものを使ってんのが、いちばんいい仕事ができます
百姓は野菜や米を作っているんじゃなく、百姓は土を作っているんだ。
有名になりたい若者は沢山いる。でも、有名になったら失われるものについて考えている若者はいない。
有名人というのは、マスメディアにねたまれます。ねたまれるようでなきゃ、有名人じゃありません。それがいやなら有名にならないことです。